強みが分からない時|適性診断は正しい?

この時期になると、証明写真(特に履歴書)のお客さまがぐっと増えます。
学生さんから、転職を考える社会人の方まで、年齢も悩みも本当にさまざま。
カメラの前に立つその一瞬に、それぞれの “これから” が静かに滲んでいます。

その中でも、特に就活中の学生さんから、こんな言葉を聞くことがあります。

「自分のやりたいことが分からない」
「何が向いてるのか分からない」
「自分の強みって何?」

そのたびに、昔の自分を思い出します。

■ 学生の頃、私も“強み”なんて分からなかった

就活をしていた頃の私は、自分の強みなんてまったく分かりませんでした。
自己アピールも苦手で(今でも得意とは言えない)、「私には何もない」と思い込んでいた時期もあります。
でも、写真屋さんで長く働くうちに、自分が何に心を動かされて、どんなことなら頑張れるのかがなんとなく見えてきました。

■ パーソナリティ診断結果に、強い違和感があった

私は写真の仕事から一度離れた時期に、全く違う業種の企業で働いたことがあります。
そのときに会社で受けたのが、いわゆる“パーソナリティ診断”。

「あなたはこの職種に向いています」
「これは向いていません」

そんなふうに、数字やアルファベットで自分を分類されました。

診断では、私は「サービス・接客D判定」。
でも実際の私は、お客さんと話す時間が一番好きで、今はひとりで写真館を営んでいます。
紙の上の “向いてない” と、実際の “好き・得意” がまったく一致しませんでした。

■ 診断とリアルの“ズレ”は、悪いものじゃない

就活の時期って、「適性診断」「自己分析ツール」「企業のパーソナリティ検査」といった “診断ラッシュ” がありますよね。
そしてもしかしたら、その結果を見て、
「向いてないって出たから諦める」
「A判定の職種に行かなきゃいけない気がする」
というように、診断に人生を合わせようとしてしまう人もいるかもしれません。
けれど、診断は絶対的な真実ではなく、どの角度から光を当てるかで見え方が変わる鏡みたいなものです。
鏡に映った姿を「これがすべて」と決めつけるのか、「こうも見えるんだ」と受け取るのかで、その後の選択が大きく変わります。

たとえば私の場合、

・接客D判定なのに、お客さんとの時間が一番好き
・向上心D判定なのに、サービスの質を高めようと日々考え続けている
・社交性D判定なのに、一対一の深い関係づくりが得意
・リーダーA判定なのに、集団は苦手

という、矛盾の宝庫みたいな結果でした。
でもその “矛盾” は、「企業の基準では測れない、自分らしい働き方」を教えてくれるヒントでもありました。

■ 診断には“目的”と“限界”がある

企業の診断が「配属や教育の参考にするため」に作られていたり、MBTIが「性格の傾向を知るため」に作られていたり、パーソナリティー診断といっても、測ろうとしている内容や目的はさまざまです。
だからこそ、どんな診断も “ひとつの見方” でしかなくて、人のすべてを測りきれるわけではありません。

企業の診断が、
・向上心=相手との競争心
・社交性=広く浅く
・接客=マニュアル対応
という基準で作られていると仮定すれば──

これらがD判定の私の強みは、
・自己を深める向上心
・狭く深い関係性
・マニュアルに頼らない、空気を読むコミュニケーション
とも捉えられるのではないでしょうか。

競争ではなく、質を深めること。
広く浅くではなく、狭く深く。
集団ではなく、一対一の関係性。
そのすべてが、今の働き方につながっています。

同じ結果でも「向いてない」と読むか「方向性が違うだけ」と読むかで意味が180度変わります。
診断は “素材” でしかなくて、どう捉えるかは自分次第だと私は思います。

■ 強みは、誰かに測ってもらうものじゃない

色々な診断があるけれど、それはあくまで “地図” みたいなもので、どこへ向かうかまでは教えてくれません。

「自分のやりたいことが分からない」
「何が向いてるのか分からない」
「自分の強みって何?」

私の場合、この答えは、
「どんな時に心が動くのか」
「どんな瞬間に、自分らしくいられるのか」
ということで、それは働いていくうちにゆっくりと分かってきました。
そして強みは、誰かに測ってもらうものではなく、日々の自分の中に静かに積もっていくものなんだと思っています。

■ おわりに

働き方は、人それぞれ違います。
“これが正解” という道があるわけではなく、その人にとって心地よい道が、それぞれにあるのだと思います。

だからこそ、その人に合った職場や環境に巡り会えたらいいなと思いながら、私はいつも証明写真を撮っています。

今日も、カメラの前で誰かの “これから” に立ち会いながら、
私もまた、自分の道を静かに選び続けています。